本としての完成度!『イヴリン嬢は七回殺される』
『イヴリン嬢は七回殺される』クリスティ的イギリス館ミステリーのはずが、主人公が同じ日を繰り返すループものかつ、別人に転移するというさらに上乗せ設定のために混沌を極めるかと思いきや、徹底的に突き詰められたロジックによって、混沌を感じつつサクサク読めるというちょっと類を見ない怪作!
冒頭の、いったいなにが起こってるんだ、自分はだれだ、というめまいにも似た浮遊感。そしてあっという間に1日が過ぎ、別人格に転移して別の目線から見る同じ日という衝撃。何度もトライし謎を解いていくのはゲーム的で、だとしたらメチャクチャ面白いチュートリアルをやってる気分になる。
あと装丁の良さも特筆。見返しに書かれた屋敷の図面や、表紙の手書き文字も流通フォントにない味わい。このフォント(イヴリンフォント)ほしいなあ。内容だけじゃなく、トータル、本としての完成度の高い一作でした。候補にあった赤バージョンも魅力。
8月9日発売の『イヴリン嬢は七回殺される』(スチュアート・タートン/文藝春秋)のカバーをどっちの色にしようか悩み中。結局どっちになったかは店頭でご確認ください。イギリスの新人によるカントリーハウスSF本格ミステリです。(永) pic.twitter.com/PvIJ3Cr4c7
— 文藝春秋 翻訳出版部 (@bunshun_honyaku) July 17, 2019