マーティン・マクドナーの戯曲

マーティン・マクドナー(『スリー・ビルボード』)がどんなにすごい戯曲家だったのか知りたくて、日本語で読める2作、取り寄せる(パルコのネット通販で買えた)。

愛猫を殺されたアイルランドの超過激派が、復讐のために帰ってくる恐怖、『ウィー・トーマス』。童話作家が書いた本のとおりに子供たちが殺され、容疑者となった彼は全体主義国家のもとで拷問される『ピローマン』。

どちらも着想がすごく、ストーリーの1歩1歩が過激かつ血みどろ。それでいてコメディ感もあるので、悲劇なのか喜劇なのか判断できない。

長編映画1作目『ヒットマンズ・レクイエム』は批評家に「監督はコメディなのかホラーなのか理解できてない」と言われたけど、マーティン・マクドナーはそれがやりたかったんだと反論してる(『スリー〜』のパンフより)。

戯曲を読めば、もうこの頃からそうだったんだね。しかも『スリー〜』ではその感じがかなり抑制されて、なんなんだこれ感が薄れ、ちゃんと1本の映画として評価しやすくなってる。

アカデミー賞では脚本賞も(!)作品賞も逃したけれど、僕は断然『スリー・ビルボード』派です。(『シェイプ・オブ・ウォーター』でいいなら、デル・トロは『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』や『パンズ・ラビリンス』のときにアカデミー賞あげたらよかったのに、という歪んだ意見です)