海外版の黒澤ブルーレイ

クライテリオン版、と聞いてわかる人はわかる。
アメリカの、マニアが好む映画ソフトレーベル。

売りはとにかく高画質、それから豪華な特典、しかも格好いいジャケット。クライテリオン版はそれだけで美術的だ。

で、クライテリオン版の『用心棒』&『椿三十郎』セットのブルーレイ。たしかに高画質。クッキリかつハッキリ。DVDで見てる分にはぼんやりしている木の木目までハッキリ見える。

ただ難点が3つ。

1.画面の左右が少し切ってある。椿三十郎』は大勢の若侍を1つの画面にすごく上手く配置してる面白さがあるので、左右が切れていると、見切れてる役者が出てしまっている。

↓国内版DVD(上)とクライテリオン版(下)のサイズの違いを表すとこんな感じです。

2.クッキリするのはいいけれど明るすぎ。『用心棒』はそんなに気にならないのだけど『椿三十郎』はやりすぎ。白く飛んでるところ多々。なんでこんなにしてしまったのか?

3.日本語字幕がない。まあこれは、海外版なので仕方ない。逆に、英語字幕で、あのセリフをなんて訳してるのか確認できるという考え方もある。

それに『用心棒』の時代では録音技術もかなり良くなっているので、字幕無しで見られるので全然いいのだけど(『七人の侍』とかになると日本語字幕があった方がいいかなあ)。

ということで3点難点をあげたけど、もちろんクライテリオン版でいいところもある。

1.まず安い。東宝が出してるブルーレイは『用心棒』と『椿三十郎』合わせて7564円。クライテリオン版は、4973円で売っている。
(2014年3月1日時点では、国内盤は7126円、クライテリオン版は5817〜6200円)

2.メイキング映像が入っている。国内版DVDの高い方にだけ入っていたメイキング映像『創ると云うことは素晴らしい』が、国内ブルーレイには入っていないのに、クライテリオン版にはちゃんと収録されてる。けっこう見やすくて楽しめるので、黒澤映画入門に最適。

黒澤通の人にとっては、知ってる話が多いのだけど、その話を当事者が直接話している映像を見られるので、何度も見直して楽しめる。

3.あとはやはりジャケットがいい。渋いね。

そういうわけで、何にせよ安い方がいいならクライテリオン版がおすすめ。画像については、日本版はまったりゆるやかで、クライテリオン版はシャープにクッキリ。画角にこだわる人はカットされてるクライテリオンはNGだろうけど、特典は完全にクライテリオン。

お好きな方をどうぞ。