『ぬけがら』(岸田戯曲賞を読む9)

ぬけがら

ぬけがら

今日は第58回岸田國士戯曲賞の授賞式だった。
慣例として、この授賞式で、本になった受賞作が参加者に配られるという。受賞作『一丁目ぞめき』『ある女』は4月14日に出版される。

さて今回は、第50回岸田國士戯曲賞、受賞作『ぬけがら』。
作は佃典彦。劇団B級遊撃隊、主催。

父が脱皮を繰り返し、どんどん若くなっていく。
離婚間近の主人公と、その妻がからんでくる、という内容。やはり男は弱い存在(しかし後半、男はトレーニングを始める)。

とにかくタイトル通り、父が脱皮をしていき、ぬけがらができていく過程が面白い。この劇構造に内包されたユーモア感が抜群。

脱皮してどんどん若返っていく父に昭和の歴史が投影される。

そこが類型的との審査員の批判もわからないでもないが、あえて言うと類型的だからこそ、わかりやすさが生まれてるような気もする。