何も起こらないという事件
- 作者: ブッツァーティ,脇功
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/04/17
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (24件) を見る
ブッツァーティは「7階」とか短編が有名で、イタリアのカフカと呼ばれる幻想的、神秘的な作風。イタリアのカフカ、とか聞くと読まずにいられない。
さてこの話、ほとんど何も起こらない。辺境の砦に赴いた新任の将兵。ついたその日から町に帰りたいと願うが、月日がたち、4ヶ月がたち、数年がたち、いつの間にか数十年以上、その砦を守ることになる。
その間、砦の向こう、砂漠の彼方から襲ってくるであろうタタール人を待ち続ける。
という、確かにカフカ的な世界。その数十年の間、事件らしきことはほとんど起こらず、よくこれで300ページ以上の小説にできたなあと。
北方のタタール人をひたすら待ち続けた主人公の運命は……これが面白いんだな。