なぜ人類はゲームをするのか『サピエンス全史』

『サピエンス全史』を読んでいる。新たな視点で人類の歴史を語ることによって、突如スリリングな物語になるんだなと実感。売れてる理由がよくわかる。

前半特に面白かったのは、人類(ホモ・サピエンス)はまだ狩猟採取民としての潜在意識下におかれているというところ。農耕を始めたのは1万2千年前、都市労働者になったのは200年前からだけど、狩猟の時代はその前に20万年もあったので、人類の脳や心はいまだ狩猟民のころのままだという。なのでこんにち人間が抱える疎外感、憂鬱、プレッシャーなどはそこに起因しているのかも、と。

読んでいて思ったんだけど、これって現代人がスポーツに熱狂する理由なんじゃないだろうか。行動によって獲得する獲物(得点や勝利)は、狩猟採取民としての本能を満足させているのかもしれない。

それと、なぜ人々はこんなにもゲームをするのかも説明がつく。そういう本能がまだ人類に残されていて、だからこそ成果自体には価値がないのに、やりつづけているのだ。だとしたら、ゲーム作りを学ぶ学生には朗報だろう。その本能が消えるとしてもおそらく数万年〜数十万年かかるだろうから、それまでゲームは常に人々を本能レベルで虜(とりこ)にしつづけるはずだから。

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福