無人島に持っていく一冊

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専門学校での授業を終えたあと、シナリオライター(見習い)君とお茶。「シナリオライター(見習い)」とは彼曰くの自称なので、ここでは便宜上I君とします。

そこでフト出た話が恒例の、無人島に本を一冊だけ持っていけるとしたら本棚からどの本を選ぶか話。

かつて、戦地に赴く兵士の一人が、聖書でもなく仏典でもなく、小栗虫太郎の狂気の探偵小説「黒死館殺人事件」を持っていったというのはまことしやかな語りぐさ。それにならって自分なら何を持っていくかという、そういう話。

I君は驚くことに、まっさらな本が本棚にあるので、それを持っていきます、との答え。僕は自分が怖くなった時にその白紙のページを眺めるんですという、病的な答え。いいぞ、そのイキだ。(ちなみにそれじゃダメと追いつめると「ノルウェーの森」とゲロしました)

さて聞かれてもいないのに答えると、僕はポール・オースターの「幽霊たち」。カフカの「城」でもなくベケットの「ゴドー」でもなく公房の「壁」でもなく、やはりオースター。それも「幽霊たち」。

他の人はどうか知らないが、僕にとってのすべては結句オースター。ここから始まる。

ここで終わるかどうかはわからないが。