すべての母に向けて

ペコロスの母に会いに行く

ペコロスの母に会いに行く

自費出版から始まり、今や10万部以上売れ、
映画かも決定したマンガ「ペコロスの母に会いに行く」を読む。

痴呆症になった母と、禿頭の編集者(息子)の、日々と過去と。

ユーモラスだけどどこか悲しい。
すべての人には母がいて、すべての人が老いていき、多くの人がボケていく。

だけど自分のハゲを笑いにし、わりと際どいところまでサクッと描くこのマンガは、いいなあ。特に、長崎という舞台がすごく生きている。

原爆で娘を失った母が、今もあの日のように娘を背負ったままでいるという描写に、戦争の悲劇を思う。

みつえさんの背中には、お孫さんがいるとばかり思っていました
いえ、母の背中にいるのは私の姉です
8月9日に母の背でなくなった姉のヒロコです

遠い年月を経て 神様がやっと――
母に姉を帰してくれたのだと思います
永遠に8月9にたどりつかない時間の中で…