追悼。僕の好きだった作家2

供述によるとペレイラは… (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

供述によるとペレイラは… (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

イタリアの作家、アントニオ・タブッキも今年亡くなった。
タブッキ作品の名翻訳家、須賀敦子さんも今はもうない。

とにかく僕にとってタブッキといえば『供述によるとペレイラは』だ。
軍事政権下のポルトガル、その暑さと軍国主義の狂乱と、一人の男の生と死と。

ほんとうに何度も読んだ。生涯に読み返した本のベスト5に入る。オースターの『幽霊たち』や安部公房『壁』に匹敵する。

妻の写真を書棚から出した。君を連れて行こう、ペレイラは話しかけた。きみが来てくれた方が、いい。息が楽なように、顔をうえにして、写真をかばんに入れた。


ありがとう。さようなら。