エピソードの面白さ
ストーリーを作る職業柄、というわけではないが、
面白いエピソードが好きだ。
例えば……
昭和の名人、8代目桂文楽。「黒門町の」という枕詞がついた人だ(黒門町に住んでいたから)。
この人は、自分の高座の前に必ず稽古をした。当たり前だろうというかもしれないが、すでに何百回とした話なのだし、これほどの大名人だ。それが必ず稽古をして高座にあがっていた。ところが。
その日、前日も同じ話をやったので、稽古をせずに高座にあがり、
そしてつまづいた。人物の名前が出てこない。客席がじっと自分を見つめている。
「台詞を忘れてしまいました。もう一度勉強し直して参ります」
そう言って高座を降り、それから2度とあがることはなかった。
落語界では有名すぎる話だけど、僕はこういうエピソードが好きだ。
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2009/03/27
- メディア: DVD
- 購入: 3人 クリック: 27回
- この商品を含むブログ (8件) を見る