手塚治虫の被害者たち

前作も大好評だった『ブラック・ジャック創作秘話』の第2巻。

1巻は天才・手塚治虫の超人的な仕事ぶり。
何かを作るということに命を削る様がグッと胸を熱くする。

さて第2巻。そんな手塚の様を1歩ひいて眺めると、いろんな被害者がいて、というのが面白い。でもみんな、手塚治虫を愛してる。

後半の話は手塚逃亡劇。京都から宝塚、そして博多まで、漫画を描きつつ逃げていく(脱げがけした編集さんを伴って)。そこに登場するのが若き日のある大物漫画家、という展開も嬉しい。

そういう大物の若かりし頃の登場が、この本の面白いところだけど、
僕が特に気に入っているのは、手塚プロの元制作進行の人の話。

手塚プロを去り、劇団を作り(そして潰し)、今は骨董屋をやっているというその人のギラギラ感。輝いているというより、なんとかして生きてやろうという怖い生命力みたいなものがいい。