『前向き!タイモン』(岸田戯曲賞を読む3)

前向き!タイモン

前向き!タイモン

第56回岸田國士戯曲賞、受賞作。3作同時受賞、その最後。

矢内原美邦の『前向き!タイモン』。
ミクニヤナイハラプロジェクトの主宰で、作、演出、振付担当。

シェイクスピアアテネのタイモン』を下敷きにした、なんというか、前向きなタイモンの話?

主な登場人物はタイモンとメイドと農民の3名だけ。簡潔な。
ストーリーというより矢継ぎ早の台詞、勢いと量がすごい。

特に、比喩としてリンゴを「子供」と呼ぶシーン。114〜117ページ。

3ページにわたる農民の長ゼリの間、「子供」という比喩が出てくるたびに、「子供ってリンゴのことね」とわざわざ説明する。ずっと。数えてみたら17回。「子供ってリンゴのことね」って言ってる。

このシーンだけでも読む価値あり。
これは初めて見た。発明。

ちなみにそのシーンじゃないけれど、どんな舞台だったのかyoutubeに少しだけ動画があった。

ミクニヤナイハラプロジェクト『前向き!タイモン』スペシャル動画