『幸せ最高ありがとうマジで!』(岸田戯曲賞を読む6)

幸せ最高ありがとうマジで!

幸せ最高ありがとうマジで!

劇団、本谷有希子」ってまあ方々で言われてるかもしれないけど名前がいいよね。

「モトヤ」というのはちょっと鈍い語感がするけどすぐに「ユキコ」って飛び跳ねるので成立してるような。

さて第53回岸田國士戯曲賞受賞作『幸せ最高ありがとうマジで!』。
最近作からだんだん年代をさかのぼって岸田戯曲賞を読んでるけど、失礼にザックリ書くと男(の作家)はウジウジ、女は躁的に明るい。

という印象。

無差別テロ、を名乗りある家庭に愛人と称し乗り込んでくる美人の女。
そこから登場人物の愛憎がもつれて爆発する。

自称愛人の女が、論理的かつ破壊的な言葉でもって登場人物を破滅へと導かせようとするのだけど、その論理の奥底、結局この女は何を考えている(どうしようとしている)のかがないので、そこがポッカリ空いてる感じがいい。

腕っぷしの強さで書ける作家、ということなんだろう。
だから審査員の選評も、この作品へというより、作家自身に賞をあげてる感じだった。