『生きてるものはいないのか』(岸田戯曲賞を読む8)

生きてるものはいないのか

生きてるものはいないのか

前田司郎『生きてるものはいないのか』。
第52回岸田國士戯曲賞、受賞作。

前田司郎が主宰する「五反田団」は一時期、平田オリザ青年団」と合併していた。ここでもやはり、岸田戯曲賞の背後に平田オリザの影が。

さて『生きてるものはいないのか』。
続々と死んでいく登場人物。原因は謎の病気? 米軍? よくわからないけど、とにかくみんな死んでいく。

そこに意味があるとかないとか、そういうことでもなく、
まあ、死んでいく。

読み手が勝手に意味をつけようとするのが、不条理劇なのかもしれない。
何か見つかれば、満足するのだろうか?

ひたすら死んでいく中での、数々のユーモア、台詞の妙。
とにかく何度も笑った。

そこに死の重みはない。
軽やかな戯曲。
すごい。