変わった本を読みたいね

船の救世主

船の救世主

なんか、ちまたに溢れる売れ筋小説よりも、たまにはちょっと変わった本を読みたい。
そういう時は東欧のSFとか南米(あるいはスペイン語圏)の小説なんかが最適。

で、『船の救世主』。作者はロドリゴ・レイローサ。グアテマラ生まれでアメリカで映画を学び、モロッコポール・ボウルズのもと小説を書く。

うーん、すごい経歴。

さて本書。とある国の海軍大将が、精神科医の定期検査を受けるが、ひっかかってしまう。そして海軍大将につきまとう謎の人物。彼は実在の人物なのか幻想なのか。

読みやすくストーリーもハッキリあって、正直、もし日本人だったら日本で売れっ子作家になってたんじゃなかろうか。

『船の救世主』はそのまんま映画化してもおかしくないような、エンターテイメントと文学性をあわせ持つ中編。130ページくらいなので、ふとしたきっかけで読んでもいい。

レイローサの邦訳は他にも『その時は殺され……』『アフリカの海岸』がある。

しかし奥付に初版2000部と書いてあって、きっと重版もされてないだろう。こんな面白い本が日の目を見ない不遇。

宣伝されないとヒットしない風潮は嫌だな。絶対無理だろうけど王様のブランチとかでいっそ紹介してみろよ、と思ってしまう。