ミステリーアンソロジーの楽しさ

北村薫の本格ミステリ・ライブラリー (角川文庫)

北村薫の本格ミステリ・ライブラリー (角川文庫)

この前、ミステリーは読書のあとの箸休めにいい、などと書いたけど、間髪おかずまたミステリー。

いや、『有栖川有栖本格ミステリ・ライブラリー』を読んだあと、学生に貸していた『山口雅也本格ミステリ・アンソロジー』がまだ返ってきてないことに気づいて、誰に貸したかも忘れてしまっているので、再びそれを買い直したりしたので、じゃあいっそ、角川から出てるこの本格ミステリのアンソロジーを全部読んでみようと思い、まずは『北村薫本格ミステリ・ライブラリー』を読む。

このアンソロジーシリーズの何がいいって、いろんなミステリーを読めるのもそうだけど、編者であるミステリー作家たちの趣向がモロにわかって面白いし、なぜか親近感までわいたりする。

さてこの北村薫編はまず、弱冠16歳でエラリー・クイーンに見いだされたレナード・トンプソンの2作から始まる。実のところすごく面白いというわけではないのだけど、この後に続く、トンプソンに対するクイーンの文章がいい。この文章を載せたいがために、トンプソンの作品を載せたんじゃないか、と思うくらい。

また、詩人である西條八十のミステリー作品や翻訳作(これが素晴らしい)、吉行淳之介のミステリーなのかなんなのかよくわからない(けど面白い)作品などが載っていて、こういう幅の広さは、そのまんま編者が書く作品の幅の広さにも通じているんだろう。

最後に収録された『ジェミニ−・クリケット事件(アメリカ版)』は、勉強不足で初めて読んだんだけど、そうか、これが古畑任三郎のあの話の元ネタだったんだとわかった。

今日、ビデオに録画していた人はラッキーですね、と古畑任三郎が言う回だ。