宮崎駿と黒澤明の共通点

7月20日公開の宮崎駿最新作『風立ちぬ』。主役の声は庵野秀明だ。これまでの宮崎アニメがそうだったように、プロの声優を使わない。

理由は、それっぽすぎる演技が嫌だから。例えば女の子の役だったら、過剰に女の子っぽさを出すから、ということらしい。

さて、こういう考え方をしていた監督が他にもいたなあと思い返すと、黒澤明だ。染まっていない素人、あるいは無名の役者を抜擢したことは数知れず。とにかく役者を見極める目は尋常じゃなかった。

例えばまだ無名だった三船敏郎、渋い脇役だった志村喬を世界的に知られる役者にまでさせた。また、今や大御所といえる山崎努は『天国と地獄』のオーディションで選ばれたし、他にも千秋実藤原釜足木村功など数々の役者を発掘した。

素人も大胆に使った。『影武者』の徳川家康役・油井昌由樹などはその好例だけど、『隠し砦の三悪人』のお姫様役・上原美佐もまたそうだった。

真逆の性格なのに、気の強い姫の役を好演させた黒澤演出の凄さ。何か資料はあるかな、と調べたら、なんと黒澤、上原、千秋、藤原、という4者の対談がyoutubeにあった。

上原美佐は数作の映画に出演した後、引退。この動画の頃は普通の主婦のようだ。

この動画、貴重な理由がもう一つあって、『スター・ウォーズ』が『隠し砦〜』からかなり影響を受けているという有名なエピソードを、影響を与えた側が自ら語っているという点。