ぶっこまれる!


今さら、『そして父になる』を観る。

子ども取り違えを題材にした家族の物語。是枝監督らしい細部の行き届いた演出が素晴らしい。

父を演じた福山雅治は、建設会社?不動産会社?(三菱地所がモデルだと思うが)のグイグイ行くタイプの優秀な社員。是枝監督の前作ドラマ『ゴーイングマイホーム』を連想させる設定だ。

そんな男が家族のことで揉めはじめ、会社でも左遷(降格)を味わう、という流れは『クレイマー、クレイマー』的だけど、あの、宇都宮?の自然を研究してる施設のシーンは、どれほど必要だったのか? 『ゴーイングマイホーム』を観た者としては、クーナが出てきそうでドキドキした。

それにしても、取り違えの相手家族の父を演じたリリー・フランキーのちょっとがさつだけど人間味あふれるキャラというのは完璧な配役でうなる。

で、法廷のシーン。取り違えを起こした看護婦が出廷し証言するところで、彼女の夫が傍聴席で無言のままじっと見つめている。それが、ピエール瀧なのだ。もちろん、取り違えられたリリー・フランキーも同じ法廷に。ピエール瀧、そしてリリー・フランキーの組み合わせ。

やばい、ぶっこまれる。

今年注目の映画だった『凶悪』を先に観てしまっているがための現象。『凶悪』では、まさに凶悪なキャラを演じた2人が、今また『そして父になる』で同時に出たらダメでしょ(いや、ホントは嬉しいんだけども)。

これって、ある映画に出たらその後、イメージを壊すような映画に出てはいけない、みたいな契約ってないのだろうか? 例えば車のCMに出てるタレントはお酒のCMに出られないみたいな。

まあでも、それだけ『凶悪』のリリー・フランキーピエール瀧のコンビが凄かったというわけで。

ちなみに福山雅治の会社の上司で國村隼が出ていたのだけど(格好いいマフラーの巻き方)、最近、西田敏行と共に出過ぎじゃない? 90年代のサミュエル・ジャクソンみたいだ。