長生きはするもんだ

もう少しで30年も生きたことになりますが、なんでしょう、長生きすると意外といいことあるんじゃないかと最近思えてきました。

特にここのところ……

・前田が2000本安打打ったり(9/1)、

筋肉少女帯が仲直りしてアルバム出したり(9/5)

YMO名義でのCDが発売されたり(8/22)

・そしてなんと柴田元幸訳の「ガラスの街」が読めることになったり(9/10)

などなど、すごくいろんなことがあって、昔ではなかなか考えられなかったことが起こるもんですね、長生きすると。

でも特筆しますが、「シティ・オブ・グラス」(ガラスの街)ってポール・オースターのニューヨーク三部作の第一作目なんですが、その翻訳本は角川から出てたんですが、オースターの小説はこの作品のみ、柴田元幸訳じゃなかったんですね。

ちなみに柴田元幸先生を知らない人に説明すると、翻訳界の村上春樹だと思ってもらえばいいんですが、オースターが日本でここまで売れたのは柴田訳のおかげというのはもう、定説ですね。本人も、原書以上に読みやすくなってるかも、とユリイカかなんかのインタビューで言っているので、オースターが日本で売れた一因は柴田訳の素晴らしさにあるんでしょう。

ところが「シティ・オブ・グラス」は初期の作品なので、別の人が翻訳しちゃって。その翻訳家さんも可哀想だとは思うんですが、もうずっと、「シティ・オブ・グラス」(柴田先生は終始「ガラスの街」という邦題にこだわっています)の柴田訳は待ち望まれていたわけなんですね。

ファンにしてみれば、もう生きてるうちに読めれば本望くらいの話だったのですが、まさか2007年にそれが現実のものになるとは、夢のような話とはまさにこのことなんです。9/10発売のcoyoteって聞いたこともない雑誌(すいません)に全文300ページ一挙掲載という大事件です。僕は高校時代から待ってたので本当に10年以上ですね。

で、長生きするといいこともありますが、そうでないこともあります。だんだんボケてきます。

今日、長沼里奈さんって札幌の映画監督の上映会が芸術の森であるってんで、JR→地下鉄→バスと乗り継いで行ったわけです。ちなみに僕はバスが嫌いで普段なるべく乗らないようにしているんですが、今回は、長沼さんから上映会のお知らせ手紙が届きまして、ちょっと心を打たれるような文面だったので、昔、一緒に仕事をするはずだったのに、いろいろあって出来なくて、それと前後してきっと悩んでいたことは知っていたので、そんな彼女が1時間10分の長編に込めた思いを見たくて、バスも我慢して乗ったんですが、すごいギリギリの時間で走って行ったんですが、どうも上映会に行くような人が見あたらないし、芸森を迷子になってウロウロしていたら、TPSの稽古にぶち当たりまして。そこで某RIPの首領にバッタリ会いまして、絵画アトリエ探してるんだけどって言ったら、TPSでそこに泊まってるよ、と。某RIP総裁はTPS職員なんで稽古にも一緒にいるわけで、絵画アトリエは俺たちが使ってるよと。

どうもこれはおかしいぞと長沼さんからの手紙を見ると、上映日はちょうど1週間後でした。
すごい。こんなこと初めて。一週間早く到着してしまいました。どうしようって。

仕方ないので芸森でやっていた澁澤龍彦展を見に行きました。
ところがこれがね、必見ですね。小学生とか中学生とか若い人、特に女の子に見てほしい。デカダンな女子を増やすべきだと思いました。かなりヤバ目な作品をこんなにたくさんの種類を見られることは滅多にないので、貴重ですよ。みんな影響されてほしい。

なにより、生まれて初めて、アルチンボルトの作品を生で見ることができて、感動で泣きそうになりました。本当に。格好良すぎて。いつか、金持ちになって、アルチンボルトの作品を一つでも買いたいと思いました。また目標ができました。

その後、街中に戻ったら専門学校の学生からシナリオの話がしたいと連絡を受け、カフェでシナリオ談義を2時間ばかりして、6時過ぎからは教文演フェスの打ち上げに参加してきました。普段、自分がかかわった映画とか演劇の打ち上げにすら参加しない僕なので、あーなんて真面目なんだろうと自分を褒めてあげましたよ。

なんかそういう日曜日でした。