冬の本屋にて迷う
方向音痴の僕ですが、本屋で迷子になったわけではありません。
昨今、シナリオの調子が芳しくないので、どしどし本を読んでいます。
比嘉先生の「ギャルゴ2」もその勢いで読了。前作よりも、こなれてきた印象。上手くなって、得る物もあれば失う物もある、なんて知ったようなことを言ったりして。キャラクターの造形には学ぶことは多く、よりハッチャケた次作を大いに期待。
そんなこんなで昨日、また別の本を読み終えたので、その足で本屋へ。閉店間際。さて何を買おうか。あまり時間がない。サッサと、パッパと行きたいところだが、フト迷う。
今回買う本の条件は……文庫、なるべく失敗したくない、ホラー純文SFはパス、ミステリーっぽいのがいい、最近のものでもいい、それに今回はあえて日本のもので行ってみようか。
そう考えると上記にあてはまるのが、まあ、あるんでしょうが、どうもしっくりこない。ので、冬の本屋にて迷う。
と悩んで悩んで。
こういう時はそうだ、人に聞こう、人に聞いたことなんか無いけど、比嘉先生とかきっと昨今のミステリー事情に詳しいだろうから聞いてみたら……でも締切前とかだったらマズいかなあ、自分は締切前の連絡にキレるとか言ってるくせに、他人には面白い本ない?みたいなどうでもいいことで連絡していいのか?
などなど苦悶の末、手にとって買う。本を買う。買った本は……
「こころ」夏目漱石
なぜ今さら? と買った自分ですらそう思うわけですが、でもいつ買っても漱石は今さらなわけで。
決して、昨今のシナリオ講座で「先生」「先生」と呼ばれていたから自分と重ね合わせたわけではありません。
高校の国語の時間、教科書に載っていました「こころ」。初めて読む文豪の代表作だったわけで。だけど長さの関係上、途中までしか載っていなかったわけですね。悲しき「こころ」。
当時の僕には衝撃だったわけです、途中までしか載せないなんてことがあっていいのか、と。国語ってそういうことしていいの?みたいな。文学へ臨む正しい姿勢を教えるべき国語教科書たるものが、途中までって。
いろいろあったりなかったりして、あれから10年以上たってしまったわけですが、あの頃の憤りと共に、今はもうお札でもなくなった漱石先生の「こころ」を読んでみようと思いますよ。