世界で一番面白いマンガ

タイトルは過大だけども、とあるマンガのタイトルとかけてます。

クリス・ウェア著「ジミー・コリガン ~世界で一番賢いこども」を知ってる人はどれくらいいるのか。

とにかく、傑作。

かつ、とても風変わりなマンガ。

最初のページはマンガ概論(マンガの読み方)みたいな文章だったり、話の途中に切り抜き工作セットが入っていたり、何の脈略もなく夢のシーンがあったり、100年前のジミーのおじいちゃんの話になったりする。それに、途中に、今までのおさらいとして、ストーリーを簡単にまとめたものまで出てくる。

「まずはじめに 世界でいちばん賢い子供ジミー・コリガンは、孤独で、情緒に障害のある、世間から見捨てられた人物である」

いきなりこんな感じで、身も蓋もなく説明していく。なんだろうこれは。

そういう大胆な試みが数多くあって、一見、難しそうなのだけど、ストーリー的にもかなり面白い。冴えない大人になったビリーのもとに、一度も顔を見たことのない父親から手紙が届き、ビリーが会いに行くというもの。

父親に会いに行くビリーの不安が、けっこう、くる。

ドキドキしながら飛行機に乗って(その前に変な夢を見たり)、隣の席の女の人に胸を見ないでと注意されたり、父親がもしも自分を殺そうとしていたらどうしようとか、あらぬ妄想をしたり……。

そういう繊細すぎるビリーがいい。


絵柄は日本の漫画にはない特徴的なもので、Amazonで数ページ確認できる。



左から4番目が切り取って作る工作のページ。
左から5番目は、自分の父親はいったいどんな人間なのだろうと、ビリーの不安な妄想。



アメリカで出版されたものは全1冊。

日本では、プレスポップ社から全3巻の予定で、2007年に1巻だけ発売されていた。
1巻発売時に、残り2冊も近日発売予定となっていたのだけど、以降、なかなか続巻は発売されず。

こんなすごいマンガがなぜ順調に発売されないのか。
きっと売り上げが伸びないからだろうなあと、
日本のマンガ読者の視野の狭さをうらんだりもした。

電車で週刊少年漫画雑誌を読んでるサラリーマンを見て、ビリーと取り替えたくなった。
これを読めと。これこそ読めと。そうして続巻発売をうながそうと。

でも僕が実力行使に出る前に……

ついに……


3年の時をへて、今年5月、2巻、3巻同時発売です(現在予約受付中)。

えーと、

快挙。

並の小説、映画なんかよりも、数百倍刺激的なので、
何か面白い物を求めている人は、ぜひ。