時の流れ4時半

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事務所に行く。
4時半、ちょっと散歩。

事務所近くの建物が解体中だった。

そこはかつて呉服屋で、前を通ると番頭さんみたいな人がいたり、
客の前になんか反物みたいなのが広げられたりしていた。

繁華街の近くだからこういうお店があるんだなあ、なんて、事務所に入り立ての頃は
すすきの界隈の情緒にひたっていた。

あれから3年。
その呉服屋もなくなり、僕も事務所から引っ越すことになった。

散歩から帰ってくると、僕の次に、この部屋に入ろうかと検討中の人たちが、
見学にやって来た。

おばちゃん連中なのだけど、中に入れると、ワイワイ言いながら、部屋を見ている。
僕は悲しい事情で引っ越すわけではないので別にいいのだが、
でも、前の住人を前にこうまで盛り上がれるとはなあ、なんて思ってしまう。

思えば前の事務所ICCの時も、同じように見学者たちがやって来ていた。
まあそういうものなんだろう。

3年の間、この事務所で何を生み出せたのだろうかと、考える。
ICCの時はその時の代表作めいたものを書けたような気がする。

今の事務所では……ほとんどシナリオを書かなかった。
シナリオはせっぱ詰まって家で書いていた。

壁には、いまだ書かれることのない、シナリオのネタが付箋で張られている。

できなかったことも多いけど、

次にどこか事務所ができたら、まずその、
書かれていないシナリオからとりかかろうか。