湯気4時半

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事務所の向かいのホテルの屋上、そこから湯気。

昔、このホテルの屋上に人が立ってて、なんかフラフラしていたのを見たことがある。

たまに、ちょっと身を乗り出して、下の道路とかを見るもんだから、
僕は怖くて仕方がなかった。

どうも考え過ぎる職業病なのか、ともかくあーこの人が自殺する人だったら最悪だなーと思ってしまうわけで。

その日は締切ど真ん中の日で、ここで自殺なんかされたら絶対このあとシナリオ書けないし、
2~3日どころか、一生残るんだろうなーやめてよーって。

なるべく見ないようにしても、今この瞬間もしかしたら……ってドキドキしてしまい、
ハッと見ると、その人はもう、屋上にいなかった。

えっ!? と思ってあわててホテルの下の道路を見る。

誰もいなかった。

誰も死んでいなかった。