怖い短編集その5
- 作者: 金原瑞人,佐竹美保
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/07/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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金原瑞人さんの編訳。
とにかくラインナップがいい。
どの話も確かに怖いんだけど、
理論的にわかる怖さの、そのさらに何ステップか先にある、感覚的な怖さというか。
表題作『八月の暑さの中で』も、怖いことは何一つ起こらない。
ただいくつかの偶然と思われる出来事があり、主人公がそれを書いているだけ、という。
それでも、この先に起こるかもしれない、予想される出来事が怖いのだ。
この話は金原氏の翻訳もいい。
同じ話が『エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談』というホラーアンソロジーにも収められているのだけど、その訳よりも怖さがある。暑さと狂気が良く伝わる。
その他にもこの本にはサキの『開け放たれた窓』やハートリーの『ポドロ島』など有名作も入っているので、怖い話の基本を押さえたい人にも有効。