怖い短編集その12

こわい部屋―謎のギャラリー (ちくま文庫)

こわい部屋―謎のギャラリー (ちくま文庫)

怖い短編集、どれから買おうか迷っている人にオススメの一冊。
北村薫編の『こわい部屋 謎のギャラリー』。

18人の作者による、22本の怖い話。

まず最初は南伸坊のマンガが3本。
『チャイナファンタジー』という題で、いちがいに怖いとは言えないがなんとなく奇妙な、余韻の残る話。

続いてブッツァーティ『七階』。
僕は知らない作品だったけど、うーんこれが一番の収穫。

階が下に行くほど重病患者の病棟になるという病院。主人公ははじめ、7階にいるのだけど、何かと理由をつけて、下の階下の階へと病室を移動させられてしまう……。

うーん、いい設定。

他にも小熊秀夫のファンタジックな話や、9歳の子どもが書いたホラーなど、バラエティがある。

だけどなんとこの本の特色は、長編として売られてる本を、まるまる一冊収めてしまっていること。

それが乙一のデビュー作『夏と花火と私の死体』(乙一はこれを書いた時16歳)。

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

僕はそれを読んでなかったので、そっちを単体で買うより(440円)、
この『こわい部屋』(998円)を買った方が、差額558円で、
他にも21本怖い話が読めるということで、ずいぶんお得だった。

ちなみにこの本、巻末には50ページにわたって北村薫宮部みゆきによる対談(作品解説)もついていて、それも魅力。