怖い短編集その17

夜がはじまるとき (文春文庫)

夜がはじまるとき (文春文庫)

泣く子もさらに泣くスティーヴン・キング
『夕暮れをすぎて』の姉妹本、というかその後半『夜がはじまるとき』。もともとは一冊の短編集だったのだけど、分冊で刊行。

『夕暮れ〜』よりこっちの方が格段に面白い。

1話目の『N』は今はやりの(?)クトゥルーちゃん的な話。もう怖い。

僕は3話目『ニューヨークタイムズを格安割引価格で』の怖さ、切なさ、悲しさとストーリーテリングの妙が大好き。

やっぱりキング好きっていうのはただ怖さを求めてるだけじゃなく、こういう切ない部分も好きなじゃないかと自分基準で勝手に推測する。

といいつつこの本の白眉は、ホラー史にその名を刻む『どんづまりの窮地』。

密室からの脱出物なんだけど、その密室がすごい。
吸血鬼の屋敷でもないし、幽霊ホテルでもないし、狂犬が外にいる車でもない。

灼熱の屋外簡易トイレ!
汚い。そして臭い。

うわー、と顔をしかめながら、目を背けながら、それでも読んでしまうキングの力。イヤよイヤよも好きのうち。存分に楽しみあれ。