コリーニ事件
- 作者: フェルディナント・フォン・シーラッハ,酒寄進一
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2013/04/12
- メディア: 単行本
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前2作はどれも傑作。
『犯罪』レビュー↓
http://d.hatena.ne.jp/ys22ys/20130115/1358264626
『罪悪』レビュー↓
http://d.hatena.ne.jp/ys22ys/20130116/1358344039
さて今回の『コリーニ事件』は、初老の男コリーニが、なぜ見ず知らずの(と思われる)資産家を殺したのか。そのコリーニを弁護することになった新米弁護士の物語。
現役の弁護士が書くだけあって、法曹界の内側は克明。新米弁護士と、対する超辣腕弁護士とのやりとりはスラスラ読めて面白い。
が、この本の最大のポイントは、コリーニの殺人の動機。
ドイツの歴史に食い込む苦いクサビ。この本をきっかけに、法律改正の動きになるなど、本国ドイツではセンセーショナルだったんだろうなあと。
「だったんだろうなあ」なんて書き方をしてしまうのは、やはりその部分に強い思い入れがあるかないか、当事者かそうでないかというのは非常に大きい。
この本のウエイトがその部分にあるので、これまでの『犯罪』や『罪悪』ほどには楽しめない。
でも次作も期待。