なんか変わった本
- 作者: ケヴィンブロックマイヤー,金子ゆき子
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2011/11/17
- メディア: 単行本
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13本の短編集。文学的なものから、SFやファンタジーなどジャンルを横断する作品があって多彩だ。
1番好きで、なおかつ1番変わっているのが『アドベンチャーゲームブック ルーブ・ゴールドバーグ・マシンである人間の魂』という作品。(ルーブ・ゴールドバーグ・マシンというのは、わかりやすく言えばピタゴラ装置ね)
これ、タイトルにあるとおり、ゲームブックの形式で書かれた小説。内容は、ある男の人生を終えるまでの数十分間。読み進めていくと分岐が現れ、
靴を履いて散歩に出かけるなら→ページ166へ
家で静かな午前中を過ごしたいなら→ページ210へ
と、選択した行動のページに飛んで先にいく。
タイトルにはアドベンチャーゲームブックとあるが、全然アドベンチャーではなくて、むしろ日本で言うところの純文学っぽい感じで、選択肢に沿ってストーリーを進めていく。
話の内容が面白いかと言われると微妙なのだけど、こういう静かな文学的内容でゲームブック形式にするというジャンル横断ぶりに嫉妬してしまう。
他にも『アンドレアは名前を変える』なんていう話は、レイ・ブラッドベリに通じる詩情性をたたえた名作。
作者、ケヴィン・ブロックマイヤーは将来を嘱望された若き作家だけど、邦訳は本作と『終わりの街の終わり』だけ。どちらも武田ランダムハウスジャパンから出ているのだけど、2012年に倒産してしまったので……今後、ブロックマイヤーの本は出るのだろうか。
出版不況と言われ続けているけど、こういういい作品を出す出版社が姿を消すのは本当に残念。
- 作者: ケヴィンブロックマイヤー,金子ゆき子
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2008/04/24
- メディア: 単行本
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