なんか変わった本

第七階層からの眺め

第七階層からの眺め

なんか変わった本が好きだ。例えば『第七階層からの眺め』。
13本の短編集。文学的なものから、SFやファンタジーなどジャンルを横断する作品があって多彩だ。

1番好きで、なおかつ1番変わっているのが『アドベンチャーゲームブック ルーブ・ゴールドバーグ・マシンである人間の魂』という作品。(ルーブ・ゴールドバーグ・マシンというのは、わかりやすく言えばピタゴラ装置ね)

これ、タイトルにあるとおり、ゲームブックの形式で書かれた小説。内容は、ある男の人生を終えるまでの数十分間。読み進めていくと分岐が現れ、

靴を履いて散歩に出かけるなら→ページ166へ
家で静かな午前中を過ごしたいなら→ページ210へ

と、選択した行動のページに飛んで先にいく。

タイトルにはアドベンチャーゲームブックとあるが、全然アドベンチャーではなくて、むしろ日本で言うところの純文学っぽい感じで、選択肢に沿ってストーリーを進めていく。

話の内容が面白いかと言われると微妙なのだけど、こういう静かな文学的内容でゲームブック形式にするというジャンル横断ぶりに嫉妬してしまう。

他にも『アンドレアは名前を変える』なんていう話は、レイ・ブラッドベリに通じる詩情性をたたえた名作。

作者、ケヴィン・ブロックマイヤーは将来を嘱望された若き作家だけど、邦訳は本作と『終わりの街の終わり』だけ。どちらも武田ランダムハウスジャパンから出ているのだけど、2012年に倒産してしまったので……今後、ブロックマイヤーの本は出るのだろうか。

出版不況と言われ続けているけど、こういういい作品を出す出版社が姿を消すのは本当に残念。

終わりの街の終わり

終わりの街の終わり