を待ちながら
僕は待っている。いつも。
今も待っている。こうして。
思えば待つことの多い人生だった。
他の人はどうなんだろう。やはり僕のように待つことが多いのだろうか。それとも僕がただ、人よりも待つことが多いだけなのだろうか。
例えば待ち合わせ。たいてい待たされる。そういう時に限って、連絡の手段がなかったりする。
そう、今年、携帯が壊れた時、僕は待っていた。連絡手段がないまま、相手からも連絡手段がない状態で、僕は雨の中待ち続けた。
そんなにいつも待っていたのか、と思われるかもしれない。かつて、知り合いがオホーツクのマラソン大会に出るというので同行した。車の中で一泊して、朝、僕はご飯を買いにコンビニへ行った。が、帰ってくると車がない。知り合いは車と共にいなくなっていた。初めてきた見知らぬ土地で、僕は1人、取り残され、コンビニで買ってきたサンドイッチを食べて、もしかしたら帰ってくるかもしれない知り合いを待ち続けた。
数十分後、知り合いは帰ってきた。マラソンのエントリーを忘れていて、あわてて会場に車を走らせたという。
待つ時間は不安だ。その不安感が記憶にすり込まれ続ける。だから僕はいつも待っている気がして仕方がない。
待つ、という行為が哲学的だということは、よく言われる(?)。『ゴドーを待ちながら』という戯曲は愛読書だけど、まだ見ぬゴドーを待ち続けた2人の男の話だ。今年、白水社から新書版が出たので買いやすくなった。
- 作者: サミュエルベケット,安堂信也,高橋康也
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2013/06/18
- メディア: 新書
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