激シブ映画と原作
裏切りのサーカス コレクターズ・エディション [Blu-ray]
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といってもアクションシーンがたくさんあるでも無し。ひたすらイギリス諜報部(サーカス)内にいるソ連スパイを探す謀略映画。
とにかく役者がいい。
失脚した上司にジョン・ハート(『エレファントマン』)。オールドマンとハートの競演シーンだけで、ご飯何杯でもいけそうだ。他にも『英国王のスピーチ』のコリン・ファース、BBCの人気ドラマ『シャーロック』でホームズを演じるベネディクト・カンバーバッチ、クリストファー・ノーランのお気に入りトム・ハーディ、それに最近は名脇役になりつつあるマーク・ストロングなどなど、などなど。
好きな映画なのでここは一つ、有名な原作『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』を読んでみた。作者は、元MI6で自らも諜報部員だったスパイ映画の巨匠ジョン・ル・カレ。
菊池光の旧訳と、映画に合わせて村上博基の新訳も出版された。しかしネットでは新訳の評価がたいそう悪いので、旧訳を古本で買って読んだ。
どちらの役も読みづらいという評判なのだけど、確かに旧訳は硬いというか、まあ、昔の翻訳ものにある独特のクセみたいなものがある。
しかし、先に映画で予習していたので、そこら辺はすんなりクリア。出来のいい映画のお陰だろう、現在と過去を行き来する難解な筋を見失うことなく、覚えづらい登場人物たちを迷うことなく読めたし、英国スパイの有様や、奥行きのある登場人物を楽しめた。
なにより、映画を観て、元諜報部員と少年の交流の部分がすごく良く、これって原作ではかなり重要なパートなのでは? と思っていたのだけど、その通りだった。冷酷で悲劇的なスパイ小説部分と、心と体に傷のあるスパイと少年の交流というドラマ部分の描き分けこそ本作の魅力。
映画も小説も、何度も繰り返し味わうことができる名作。
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