奇妙な童話

頭のうちどころが悪かった熊の話

頭のうちどころが悪かった熊の話

子供から大人まで楽しめる奇妙な童話、というジャンルがあるような気がする。例えば『頭のうちどころが悪かった熊の話』。

はじめ、外国の本かなと思って読んでいたのだけど、意外や日本人の作。こういう無国籍感のある本は好きだ。

なんと言っても表題作が一番いい。頭をうった熊は、レディベアを探さなきゃ、といううつろな記憶を元に、亀やハチ、毛虫などに「きみはレディベアかい?」と聞いて回る。いい設定だ。

僕の愛読書の一つ『だれも死なない』もやはり奇妙な童話集だ。

だれも死なない (リエゾン・リーブル)

だれも死なない (リエゾン・リーブル)

谷川俊太郎がつけた邦題だそうで、こういう本の特徴として、いいタイトル、というのがあるんだな。

この本は43編の短い話。しかし不思議な童話だ。例えば『どういう風に終わるんだろう?』という話の書き出しなんか……

「リス、いつか僕たちも終わると思う?」ある時、アリがたずねた。
 リスは驚いてアリを見つめた。
「ほら、パーティーが終わるみたいに」アリが言った。「じゃなきゃ、旅が終わるように」
 リスには、そんなこと想像もつかなかった。

こういう本が増えるといい。