いじめの原因

ひみつ

ひみつ

福田隆浩著『ひみつ』は、「現役教師が書いたリアルないじめの世界」という触れ込みの本。

「リアル」というのがどの部分なのか。意外と残酷なリアルだなと思ったのが、いじめの対象になっている(いた)女の子の描き方。

主人公が、はじめてその子に出会うシーン。主人公がまだいじめの存在を知らない時に見るその子は、主人公にとっても(読者にとっても)、なんか、ちょっと嫌なのだ。

その、人と違う感。嫌悪感まではいかないけれど、ちょっとイヤだなあという違和感。

僕たちは、ちょっとした違いにすごく敏感なのだと思う。特に、自分と違うことよりも、自分が属しているものと違う感、自分がいるコミュニティーで形成されている空気感を少しでも乱す存在、そういうのに嫌悪を感じるようだ。

どうしてだろう? 人間にとってこの機能は、生きていく上でどういう必要性があるんだろう?

ともあれ、この本はその違和感をすごく上手く書いている。だから、読者はその子に違和感を感じたあと、いじめの存在を知った時に、少しだけ、共犯者のような気にもなる。