宮崎駿も好きな児童文学

かかし

かかし

不勉強で知らなかったのだけど、イギリスの著名な児童文学者、ロバート・ウェストール。

宮崎駿もウェストールが好きで、ウェストールの故郷を訪ねたマンガを書いていたりもして、それは『ブラッカムの爆撃機』という作品に収録されている。

ブラッカムの爆撃機―チャス・マッギルの幽霊/ぼくを作ったもの

ブラッカムの爆撃機―チャス・マッギルの幽霊/ぼくを作ったもの

で、僕が初めて読んだウェストール作品が『かかし』。
帯には「ぼくが憎むたびにやつらが近づく…じりじりと迫り来る恐怖」とある。不気味な物語だ。

父の死を経て、母が新しい恋人を作る。恋人の家の横には大きな畑があり、そこに、3体のかかしが現れ、主人公が憎しみを抱くたびにだんだん、家に近づいてくる。

というシーンはわりと後半で、前半は主人公の少年が、母親とその恋人をどう見るか、2人の間柄に対しての反応だ。

ウェストール作品はすごいと思うのは、物語の面白さだけでなく、そういう母と恋人のけっこうきわどいところをガツガツ書いているところだ。

児童書なんだから、という抑えはなくて、むしろ本を読む子供に強烈な印象を与えるシーンや描写がある。そこに、この作家の本気度というか、ウソのない作家としての信頼がある。

子供向けの本というのは、オブラートで包むことじゃなく、むしろさらけ出すことに魅力があるのかもしれない。