面白くなければ意味がない!

新著『ぐるりと』(島崎町)は、変わっているのにすごく面白い本を目ざしました。変わっている本ほど、中身は面白くないといけないのではないか。

これまでの変わった本は、形式が一番で、本編は必ずしも面白くなかった。例えば僕の好きな『第七階層からの眺め』(ケヴィン・ブロックマイヤー)は、いわゆる純文学的な短編集なのに、途中の1話だけ突然ゲームブック形式になっている。

これはすごい。カッコいいわけです。しかし内容はある人物の一日の後半を描くもので、オチに衝撃はあるものの、本編をエンターテイメント的に楽しむものではなかった。

あと例えばニコルソン・ベイカー『室温』なんかは、男が我が子を前に20分間考えたことが延々思考として描かれる。僕はすごく好きな本なのだけど、読書家(特に海外文学読み)以外には取っつきにくい作品なのがもったいない(岸本佐知子さんの訳もすばらしい)。

他にもレーモン・クノーの『文体練習』は愛読書だし、さらにそれを模倣した『コミック文体練習』なんかも大変良かった。

しかし読書家以外にそれらは受け入れられるのだろうか。愛すべき変わった本を読むたびに、僕はいつも自問してきました。変わっているからこそ、面白くないといけないのではないか。変な本だね、で終わらずに、すごく面白い、変な本って楽しいんだね、となってほしい。

思えば僕の最初の読書体験はエンデの『はてしない物語』でした。これが僕の求めている変わっているけど最高に面白い本です。現実世界は赤い文字、本の中のファンタジー世界は緑文字。主人公は本の中に入って、別の世界の冒険がはじまる……。

『ぐるりと』を読んだ方はわかるでしょうが、『はてしない物語』との共通点は多いです(書いてる最中に気づいた)。願わくば『ぐるりと』が日本版はてしない物語となればこの上ない喜びです。そのためには、多くの人に読んでもらいたい。変わってる本は楽しいと、思ってほしい。

※今日ようやく、作者の書店チェックに行ってきました。紀伊國屋札幌本店はやはり売り切れ(入荷してくれるでしょう)。テレビ塔の下にあるオーロラタウン店は、児童書ではなく新刊コーナーに平積みされてました。

つまり多くの一般文芸と対等に勝負させてもらってるわけです。僕の本のすぐ前には内田康夫大先生の新刊がありましたよ。他にもネットで調べるとサンピアザにある厚別店にもあるようですし、発寒イオン内の未来屋書店TSUTAYA美しが丘店にも在庫あります。みなさんどうかよろしく。