トイレブック

数年に一回書いてるけど、トイレブックなるものがある。
検索すると、トイレに関する本がひっかるけど、僕が言うのはそれではなくて。

トイレで読む本、それがトイレブック。

人間生きていれば、どうしたってトイレに行く。
どうしたってそこに時間ができる。

だから、本を読む。

数分間を、用を足す以外のことに使う。
それも、毎日必ずあるのだから、有意義なことに使えば、
有意義がどんどん貯金のように貯まっていく。

適しているのは、短い章に分かれた本だ。
長く続く本だと、いいところでやめたりして、次のトイレまでに面白さの感覚を忘れてしまう。

だから、短く、スマートで、しかも得るものが多い本。
あまり深刻に悩まずに、オイオイ泣けたり笑いすぎない本が、
トイレ外の人に対してもデリケートでいいのかもしれない。

あいつウンコしながら笑ってるぞ、って思われると恥ずかしい。

さて僕のトイレブック遍歴の中で、なかなか良かったのは、
「ミニミステリ100」(エラリー・クイーン編の短編ミステリ集)、
「掌の小説」(ご存じ川端康成の掌編集。これは何度もトイレブックとして読み直している)。

そして今日、トイレブックを一冊読み終えた「詐欺とペテンの大百科」。主に欧米の今昔詐欺集。
古典的なものから現代的なものまで、あーいろんな詐欺があったんだなあとわかる辞典のようなもの。

結構分厚い本なので(大百科!)、結局、読み終えるのに2年かかった。
この2年、毎トイレごとの読書が楽しかった。

一つのトイレブックが幕を閉じるたびに僕は嬉しく思いながら迷う。
さて、次は何にしよう?